2014年7月12日土曜日

作品展示告知

「僕ら、ウイーンの人間はしつこいよ。反復を厭わない。アングロサクソンとはその点違うかも。また何年後かに、フジオ、君の肩をポンと叩くかもしれないよ。」居酒屋で冷酒を飲みながら彼は言った。「そうそうフジオがウィーンに来るときはワインの新酒が飲める秋がいい。ウィーン近郊の山に新酒を飲ませる酒場があるんだ。きっと気に入ると思うよ。」

予期せぬ再会がもたらした豊な経験があり、その濃密な時間を回想することに喜びがあることを私は知った。
始まりはこの動画だった。



東京への手紙 | Letter to Tokyo from Paul Weihs on Vimeo.
Paul Weihs撮影2012年秋東京湾三番瀬にて
あの年の秋に書いた私のブログです。
http://fujioh3776.blogspot.jp/2012/09/blog-post.html


予期せぬ断絶によって心身に刻まれていくものがある。それはヒリヒリとした鋭さと、ある種の重さをもったもの、それが虚しさや悲しみを突き抜け、ずっしりとした島のような、山のようなものを、身体の奥ふかくに形作る。

作品展示をします。よろしくお願いします。

人の名前。
その名を持つ人の生と他者との繋がりを内側に秘めた繭。

呼びかける。
その人に向け、その名を私が口にする時。

記憶の伝達。
その人の人生について私の記憶を第三者に伝えようと、
その名を私が口にする時。

私とその名を持つ人がつながった時、
第三者がその名を持つ人の生の記憶を共有した時、
繭は解かれ、生糸になり、織物へと形を変える。
その人の名は消滅し、
あなたであり、君であり、彼であり彼女にかわる。

呼びかけと、記憶の狭間で、
静かに震える繭。
名前。

「パウルさん」

小林由香 萩原富士夫 藤本なほ子 矢尾伸也


オーストリアの映像作家、Paul Weihsは、"Letter to Tokyo"というプロジェクト制作のため2012年秋に一ヶ月の間滞在、しかし帰国後作品は未完のままこの春急逝してしまった。運命的な出会いから作品に関わることになった4人の日本人の思いを遺すための展示。
(表参道画廊 展示案内より引用)



表参道画廊+MUSEÉ F
2014年7月14日(月曜日)から7月19日(土曜日)まで。
12時から19時。最終日は17時まで。
以下画廊ホームページ
http://www.omotesando-garo.com/index.htm
http://www.omotesando-garo.com/link.14/paul.html