萩原富士夫ソロダンス☆2013
「ルクレティウスが書いているとおり映像が飛来する皮膜なら、
目の前のダンスはあなたの視覚に対する愛撫もしくは殴打に他ならない。」
先週の日曜日無事終了いたしました。
目撃してくださった皆さんありがとうございます。
音響・照明を担当してくれた矢尾伸哉さん。
受付及びインスタレーション協力のさそうすなおさん。お疲れ様でした。
そして毎度毎度の私の無謀な試みを、暖かくそして厳しく見守ってくれたStudioGOOの吉福敦子さん、ありがとうございました。
終演後は様々な貴重な意見、感想をいただきました。興味深いことは同じ事象に対して真逆の見方が成立していたことです。作品の善し悪しはぬきにして、ダンスが自分の身体から離れてメディアとして機能したことを実感しました。
白いつなぎや防塵マスクからフクシマのことを想起した人は、少なくありませんでした。
実はキューピー人形とバラの花以外は私が日頃現場で使用しているものです。
空間構成に使用したビニールフィルムはオフィスの改修工事での空調機や天井の撤去の際、間仕切り養生に使っているものです。ピンクの防塵マスクはアスベスト含有物を撤去する際に使用します。それらは私の労働身体を構成している要素なのです。なんら特殊なことでは無く、東京のどこかのオフィスビルの改修工事で使われている物を、場所とコンテキスト変えて使用するだけでまったく違うメッセージを発するのは不思議なことです。
あと、劇場には魔が棲んでいるのですね。上演ではルクレティウスのテキストを、キューピー人形に読んで聞かせて、それをライブ録音し、それをアンプをとおして再生したり、リベルタンゴを流してダンスしたのですが、2日目はそれらの音源であるノートパソコンが上演中にまさかのフリーズしてしまい、終始無音で踊りました。てっきり私はオペレーターの矢尾さんが「音に頼るな、無音で踊れ!!」と即興で難問を突きつけてきたのだと誤解。
「ならばいっちょうやったるぜ!!!!!」と言う気概で発憤。じっくり踊ることができて濃厚な時間となりました。終演後トラブルだと知り唖然。だって矢尾さんは表情を全く変えず冷静に私を見ていたのです。まあ結果オーライで、一つの作品が二度おいしくなりました。
一日目はコンセプトと構造の提示。2日目は身体の提示とでもいいましょうか。そして不思議なことに終演後は音が出ました。リベルタンゴを聴きながら撤収作業しました。
以下の写真は矢尾伸哉さんが照明・音響の合間に撮影してくれたものです。