ウルトラシリーズに登場した懐かしい怪獣達の体内解剖図解の数々が展示したあった。バルタン耳やバルタン胃。エネルギーぶくろや、怪獣の弱点。1万トンやマッハ2や何万馬力などの具体的に記述されているが、凄いんだろうとしか漠然に思うしかない数値の数々。子供の頃に彼の怪獣図鑑を実際に所有して愛読したというハッキリとした記憶はないのだが、大伴の影響を受けたであろうと思われる色々な図解シリーズを小学生低学年の頃夢中になって読んだ記憶はある。特に未来予想が好きだった。立体テレビ。エアカー。未来都市での生活。ロボットが人間の活動をサポートし、テクノロジーの発達により深海や宇宙にまで活動範囲を広げる人類。科学がもたらす明るい未来。自分が大人になる21世紀はどんなによい時代であろうかと夢想する一方で、破滅的なイメージにも魅惑された。宇宙人の襲来。公害。食糧危機。大三次世界大戦。人類滅亡の予想。
大伴昌司の大図解展でも未来の予想についての展示に目が行く。彼の大図解の代表的な例として取り上げられるのが、「情報社会 きみたちのあした」《1969年(昭和44)『少年マガジン』掲載》なのだそうだ。今回私はこの展示で初めて知った。ちなみに掲載時私は4歳だ。
コンピューターによる犯罪分析と犯人逮捕、そしてなんとコンピューターが裁判の判決まで下す。他にも教育システム、自動車の自動走行システムや遺伝子操作による新しい生物の創造などが描かれている。現在インターネットを利用した学習などはもはや珍しくもない。自動走行システムのなどはグーグルが積極的に推し進めている。図解ではネズミ大の大きさの像やキリンが描かれていて気持ち悪い。でもそのうち生まれるかも、情報社会の花形として電話が取り上げられている。さすがだ。でも携帯電話までは予想していない。
面白かったのは「ドライブイン病院」自動車に乗ったまま、ファーストフードのドライブスルーを利用する感じで人体がスキャンされ、異常がなければそのまま走行を続けることが可能なのであるが、入院が必要とされる異常を抱えた人物の自動車は自動的に大型コンテナに誘導されそのまま病院送りとなる。さすがに自動車に乗ったままの診断は難しいだろうが、それこそスマートフォンのアプリのようなもので定期検診することが国民に義務付けされたりするかもしれない。それより飲酒運転撲滅のために自動車に生体検査システムが埋め込まれるのが早いかもしれない。それは同時に交通違反をはじめとし各種犯罪の予防捜査も利用される。なんだか私も三流SF作家の様な妄想に囚われ始めたようだ。
大伴の図解に戻ろう。原子力関係の記述にも注意がいく。ゴジラは言うまでもない。ガラモンはロボット怪獣で体内に原子炉を持ち放射能をまき散らすらしい。ガボラという怪獣は原発を襲ったそうだ。貝獣ゴーガは放射線の影響で巨大化する。ウルトラマンに出てくる科学特捜隊のビーグル号はあんな小さな機体を原子力エンジンで飛行している。冷戦下の核実験の影響と夢の技術としての原子力が共存しているのが感じられる。
展示は他にもホラーやミステリ、SF関連の仕事の資料なども。小松左京やアーサー・Cクラークとともに映っている国際SFシンポジウムのスナップもあり。少年雑誌からSF、テレビ脚本、映画評論まで多彩なジャンルで活動したプランナー、ジャーナリスト大伴昌司の様々な仕事が取り上げられている展示。見るというよりは、雑誌を読むそんな感じの体験をした。
弥生美術館に連結している竹久夢二美術館では、関東大震災を経験した夢二が被災した東京を歩き回り描いたスケッチと残した文章が展示されている。画家として、目の前に起こったことをしっかりと目でとらえ、残そうとする鋭く強い意志を感じた。
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